認知症に対して、孫として、作業療法士としてどう向き合うか。

2020年12月18日

施設で暮らしている認知症のおばあちゃんは、いつもニコニコして、「今が一番幸せ~」と言っています。

電気ストーブでやけどをしてしまったため、電気毛布と交換しました。

「ありがとう~」と嬉しそうでよかったです。

数分後、「ありがとう~」と泣きながらお礼の電話がかかってきました。

さらに数分後、「ありがとう~」とまた同じ電話(^^)

 

翌日、叔父から連絡がありました。「おばあちゃんが、ストーブを返してくれへんって言ってるけど、どうなってる?」と。

おばあちゃんに電話すると、「ストーブはいつ返してくれるの?あんたが持って行ったんやろ?」と不機嫌。

いきさつを説明すると一応納得。

その日の夜、おばあちゃんから電話が鳴るが仕事中で出られず。着信は数十回続く…。

(うわぁ~不安がってるやろなぁ~)と私はヤキモキ。

妹からLINE。
おばあちゃんから電話あったよ。
「電気毛布を買ってくれてん。お礼が言いたくて、連絡したような気もするけど…」って言ってたよ。
「兄ちゃんから、おばあちゃんのお礼の電話があったって聞いてるよ、
兄ちゃんは仕事中やと思うよ。」って伝えたら、安心してたよ。
今、仕事中やろ?おばあちゃんへの返信はしなくても大丈夫!、と。

(ありがとう~!助かったぁ~)ようやく仕事に全集中!

 

作業療法士として心がけていることは、

認知症の症状(忘れる、時系列がばらばら、相手の状況を想像しにくい、など)と、

おばあちゃんの気持ち(「ありがとう~」)を分けて考えることを大切にしています。

孫としては、「ありがとう~」だけをそのまま受け取ればいいな、と思います。

おばあちゃんに悪気はありません。純粋に「ありがとう~」を孫に伝えたいのです。

もし悪が存在するとしたら、おばあちゃんではなく認知症そのものです。

とはいっても、そんなに簡単に整理できるものではないですし、私のペースはおかまいなしに色々あるので、しんどいものです。

なので、一人で抱え込まずに家族や親せきを巻き込むことを心がけています。

情報を共有して、対応できる人がみんなのことを考えながら立ち回れば上手くいくことが多いです。

私たち家族は、「おばあちゃんサポート」というグループLINEで情報共有しています。

孫として、おばあちゃんが「今が一番幸せ~」と言ってくれるのが幸せです。

 

作業療法士 増田浩和